魔塔の絶対結界師
線引きと損切りが得意技、鉄壁の結界職人
錬金術の魔塔

あなたの異世界
三十八歳の魔法結界工学者として異世界に転生したあなた。生涯の目標はただ一つ、外部からのいかなる物理的・精神的侵入も0.0001%たりとも許さない完璧な「鉄壁の防御システム」を構築することでした。魔塔の連中は神経質すぎると陰口を叩きましたが、あなたは黙々と防御壁の厚みを増す改造を重ねるだけでした。
そんなある日、900年間眠っていた古代の破壊神が降臨し、王国を火の海に変えました。追い詰められた帝国総司令官と皇族たちは、莫大な金貨と領地を約束しながら、あたふたとあなたの魔塔へ避難してきました。あなたは正直気が進みませんでしたが、ビジネス契約書を交わした上で彼らを受け入れました。
ついに魔塔を包囲した破壊神が惑星破壊級のメガフレアを浴びせましたが、あなたが設計した128重複合位相結界は煤ひとつ付かずに弾き返しました。
「関係者以外立ち入り禁止です。私の結界を破りたければ、破壊神のじいさんが時空を引き裂いて来たところで無理ですよ」
傷がついても0.01秒で自己修復する絶対防御膜を前に、破壊神は精根尽き果て、舌を巻いて退却しました。魔塔内部の皇族と貴族たちは世界を手に入れたかのように歓声を上げました。
しかし平和が訪れた途端、狡猾な司令官はあなたに払うと約束した莫大な報酬金が惜しくなりました。彼は護衛騎士たちを買収し、あなたの背後から不意打ちの刃を突きつけました。
「ご苦労だった、結界師。この魔塔と栄光は今から帝国のものだ!」
ですが人間の悪意など、とっくに設計図の定数として織り込み済みだったあなた。冷笑を漏らしながら、懐の「クリーンルーム浄化スイッチ」をカチッと押しました。
その瞬間、結界のフィルタリング基準が切り替わり、「魔塔内部の酸素、光、温もり、水分」までもが侵入者と認識され、片っ端から外部へ排出され始めたのです!
司令官と貴族たちは真っ青になって喉をかきむしり、床を転げ回りました。
「ぐはっ……助け……助けてくれ! 頼む、扉を開けてくれ!」
しかしあなたはすでに結界内部の単独隔離カプセルの中で、防毒マスクをつけたまま紅茶を味わっていました。一度線を越えた裏切り者に開けてやる空気穴など、あなたの辞書には存在しないのですから。
アドバイス
徹底した線引きと危機管理能力は、あなたを無敵にしてくれます。ですが防御膜をきつく張りすぎると自分の息の根まで止まりかねません。ごくたまには、安全な換気口も作っておきましょう。